外構工事でアスファルトを使うときの手順をわかりやすく解説


外構工事でアスファルトを使うときの手順をわかりやすく解説

 

外構とは住宅の建物以外の敷地内構造物、エクステリア全般を指す言葉です。塀やお庭の垣根のほか、駐車スペースや玄関周りのアプローチ、土間などもこれにあたり、舗装を行う方も多いかと思われます。

外構の舗装には一般的にコンクリートやアスファルトが用いられますが、ここではアスファルトを使用する際にどのような手順と工程を踏むのかを段階に分けてご説明していきます。

 

また、外構工事にアスファルトを使用するメリットとデメリット、施工面積に対して実際に使用できるまでにかかる期間はどのくらいかなど外構工事に役立つさまざまな知識もご紹介いたします。

 

 

アスファルト施工の基礎知識

まずは前提となる基礎知識として、舗装に使用されるアスファルトが具体的にどのようなものなのかをご説明します。

アスファルトの持つ基本的な性質と、地面に敷く際の構造、アスファルトが舗装材としてどんな場所で使われているかなどをご紹介していきます。

 

アスファルトの基本的な性質

舗装用のいわゆるアスファルトは正式名称を『アスファルト混合物』と言い、アスファルトの他いくつかの材料を配合して製造されています。材料を大きい順に大まかに分類すると以下の通りです。

 

◆粗骨材

 比較的サイズの大きな砂利や砕石です。5mmの目のふるいにかけて残った約85%の大粒のものがこれにあたります。粗骨材が多く混合された舗装路は表面が荒く、耐久性と滑り止め効果が高まります。

 

◆細骨材

5㎜のふるいにかけて落ちたもので、比較的小粒の砂利や砕石のことを指します。細骨材が多く含まれた舗装路は表面がきめ細かくなり、水やひび割れに対して強くなります。

 

◆フィラー

石を粉末状に砕いた鉱物質微粉末と呼ばれる素材で、上記の骨材同士の隙間を埋める働きをします。またアスファルトの粘度を高め、衝撃を吸収しやすくなります。

 

◆アスファルト

石油から精製されるタール状の物質です。上記の材料のつなぎとしてまとめ、アスファルト混合物として完成させる接着剤の役割を持っています。

 

以上の材料の配合割合によって、アスファルト混合物の『粒度』が決まります。粒度が大きいと頑丈で滑りに強くなり、粒度が小さいと耐水性を持ちひび割れに強くなります。

アスファルト舗装は適度な柔軟性で路面にかかる衝撃を吸収し、水はけが良いため雨上がりの路面をすばやく乾燥させます。

この特性は自動車や歩行者が安全に通行するのを助けるため、アスファルト混合物は全国の道路の舗装に広く普及しています。

 

また地面をアスファルトで覆うことで雑草が根付くことを抑制できるため、雑草対策としてアスファルト舗装を用いているところも珍しくありません。

 

全部で7層あるアスファルトの構造

アスファルトによる舗装を構造に分けて見てみると、以下のような7層に分かれています。

 

◆表層

外から見える一番上部の層です。アスファルトを敷き詰めることによって、路面にかかる荷重や衝撃を分散し、道路を平坦に保つことで自動車や歩行者が快適かつ安全に通行できる状態を確保します。

 

◆基層

表層の下にある層で、更に下の路盤と表層との間でクッションの役割を果たします。舗装においては表層と基層にのみアスファルトが使用され、それぞれ役割が異なるため使われるアスファルトの種類も変わります。

 

◆上層路盤

すぐ上の基層を均一に支え、上部から伝わってくる荷重を更に分散させる役割をもった層です。

 

◆下層路盤

上層路盤を支えるもう一つの路盤です。路盤を二層構造にすることで、荷重の分散性を高めることができます。

 

◆構築路床

路盤の下部の層で、表層から1メートル程度の深さに敷設されています。上部から伝わってくる荷重を分散して下方へ流します。

 

◆原地盤

路床の下の地盤になる部分です。最終的に荷重を支える場所になるため、ここが軟弱な場合は改良を加えられることもあります。

 

◆路体

地盤を更に支える、土壌の部分です。舗装工事は一般的にここまで掘り下げてから層を重ねていくこととなります。

舗装材としてアスファルトを見た場合、特に秀でているとされているのが柔軟性です。

 

同様の舗装材としてコンクリートと比較した場合、コンクリートが10センチ程度の厚みで施工しないとひび割れが起きてしまいがちなのに対して、アスファルトはその半分の5センチでひび割れることなく使用が可能です。この利点は材料費や工数の削減というかたちでコストを抑えられることにつながります。

 

アスファルトがよく使われている場所

一般的にアスファルトを目にすることが多いのは、一般道や高速道路といった道路です。アスファルトはその優れた路面特性から公道の舗装に多用されています。

 

しかし道路以外でも、補修が容易で施工費用が安く、水はけなどの機能性が高いことから、駐車場や住宅の外構などに使用されることがあります。

 

アスファルト舗装が完成するまでの流れ


アスファルト舗装が完成するまでの流れ

 

アスファルトの舗装工事には大まかに分けて、『掘削』『路盤整正・砕石敷きならし』『路盤転圧』『アスファルト合材敷きならし』『アスファルト舗装転圧』の5つの段階が存在します。

それぞれの段階ごとに、留意点を交えてご説明いたします。

 

工程1 路盤を掘削する

道路の土台となる路床や路盤をつくるために、まずは施工エリアを掘り返します。施工する地盤の強度により、路盤を必要な深さ分だけ掘削していきます。地盤が脆弱な場合は地盤補強もここで行います。

掘削後、露出した土壌をローラーなどで踏み固めます。駐車場などで現場にレンガ塀やブロック塀が必要な場合はこの段階で設置しておきます。

 

工程2 路盤を整正と砕石の敷きならし

掘った穴に砕石を敷き詰めて路盤を形成していきます。下層路盤には大粒の、上層路盤には小粒の砕石が用いられます。

 

またアスファルトの表面に溜まった雨水などがスムーズに側溝へ流れてようにするため、路盤の高さと勾配を決めます。駐車場の形状(細長い駐車場など)によっては、勾配が多く必要な場合もあります。

 

工程3 路盤の転圧をする

砕石密度を高く維持するために路盤の転圧をします。敷き終えた砕石を、更にロードローラーなどで圧力をかけていきます。

所定の密度になるまで固く踏み締めます。転圧が不足してしまうと、地盤沈下が起こることもあるため非常に重要な工程です。

 

工程4 アスファルト合材を敷きならす

表層及び基層を形成するアスファルト混合物を敷き詰めていきます。アスファルトは加熱することで柔らかくなり冷えると固まるため、必要であれば保温しながらの敷き詰め作業になります。

工事完成後に沈下することを考慮し、前もってアスファルトの仕上げ面をかさ上げする「余盛り」と呼ばれる作業を行っておきます。

余盛りが済んだら路面が平坦になるよう均します。

 

工程5 アスファルト舗装を転圧する

敷かれたばかりのアスファルトは空気が混じっていて柔らかくふわふわとしているため、ローラーや振動機を使ってしっかりと圧力をかけて空気を抜き、踏み固めていきます。

転圧の際にも温度管理は非常に重要になります。綺麗に仕上げるには高温が維持されていることが必要で、作業中に冷え固まってしまうと歪みやひび割れの原因になります。

十分に踏み固めたあとは、アスファルトが冷えて硬化するのを待って完成です。

 

アスファルトと土間コンクリートの違いを比較

土間コンクリートとは、地面や床面として施工される平坦なコンクリート舗装のことです。アスファルトと異なりきめ細かく白っぽい表面を持ち、極めて頑丈であることが特徴です。

ここでは、外構工事の舗装材として見た土間コンクリートとアスファルトの、それぞれのメリットとデメリットを比較していきます。

 

工程や施工時間を比較

土間コンクリートの舗装工事には、一般的に7段階の工程を踏む必要があります。主だった工程としては下記の通りです。

 

◆掘削

◆路盤材となる砕石の敷き詰め

◆砕石の転圧

◆コンクリートを流し込む型枠の設置

◆ひび割れ防止のための鉄筋(ワイヤーメッシュ)の設置

◆コンクリートの流し込み

◆表面の仕上げ作業

 

アスファルトの5段階工程に比べて2工程多く、その分工数と期間が多く必要になります。更に、コンクリートは十分に硬化するのに1週間程度寝かせておく必要があるため、その期間は通行が出来ないほか、保温や保湿といった『養生』と呼ばれる作業が別途必要になります。

 

施工後数時間程度で硬化が完了するアスファルトと比較すると、工期が長引く傾向にあるのが土間コンクリートのデメリットといえます。

 

メリットを比較

アスファルトと土間コンクリート、それぞれのメリットを下記に比較します。

 

▶アスファルト

・透水性(水はけ)が良く、雨上がりでも滑りにくい

・摩擦に強く、自動車が通行することによる擦り減りが起こりづらい

・柔軟性があるため、補修や解体の際にも舗装を剥がしやすい

・施工コストが安い

・数時間で硬化するため工期を短くしやすい

 

▶コンクリート

・耐久性が非常に高く、長年の使用に耐える

・着色や模様などをつけやすく、デザイン性が高い

・頑丈なため剥がれにくく、雑草などによって舗装が持ち上げられて亀裂が生じることが少ない

・施工可能な業者が多く、吟味しやすい

 

こんな方にはアスファルトがおすすめです


こんな方にはアスファルトがおすすめです

 

外構工事を行うにあたって、希望される仕様は人によってさまざまかと思います。

その中でも特に、以下のようなご要望にアスファルトは応えやすく、おすすめできます。

 

アスファルトの機能性が必要な方

アスファルトの重要な特性である水はけと摩擦に対する強さは、道路と同じように車の使用に適しています。

例えば駐車場の舗装にアスファルトを敷設すれば、雨が降っても水が溜まりにくく、車の発進時にもスリップしづらいため安全に出し入れすることができます。

 

また修繕や改築など一度舗装を剥がす必要がある場合、コンクリートはその頑丈さが災いして破砕するのに時間と手間がかかりますが、柔軟なアスファルトは撤去もしやすいというのも重要なポイントです。

 

早く外構工事を完成させたい方

土間コンクリートが打設後最低でも1週間程度の養生期間が必要であるのに対し、アスファルトは数時間程度で硬化が終わりすぐに使用できるようになります。

 

また施工に必要な工数も少ないため、比較的短工期で外構工事を終えることができます。

そのため、なるべく短い工期で外構の舗装工事を済ませたい方にはアスファルト舗装をおすすめします。

 

外構工事の予算を抑えたい方

高い耐久性が魅力の土間コンクリート舗装ですが、柔軟性がないためひび割れを防ぐには鉄筋やワイヤーを骨組みにしたうえで分厚く打設する必要があります。

 

一方で、柔軟なアスファルトはひび割れに強く、コンクリートのおよそ半分程度の厚みでも問題なく使用が可能です。この性質は単純に必要な材料が鉄筋分を含めれば半分以下で施工できるということであり、またアスファルト自体の相場もコンクリートに比べて安い傾向にあるため、工事費用を抑えやすいとされています。

外構工事の予算を抑えたい場合に活きる特徴です。

 

まとめ

外構工事にアスファルト舗装を用いる場合に知っておくと便利な基礎知識をここまでご紹介してきました。要点をまとめますと以下の通りになります。

 

・舗装用のアスファルトは複数の材料を混合したものであり、材料の密度によって種類が異なる

・アスファルトの舗装は7つの層に分かれていて、5段階の工程を踏んで敷設される

・アスファルトの大きな特徴として透水性と耐摩耗性があり、適度に柔軟なため自動車の通行に適している

・同様の舗装材として土間コンクリートと比較した場合、施工や撤去のしやすさと費用面で優れている

 

アスファルトは全国の道路で使われてきた実績のある、優秀な舗装材です。その特徴と適するシーンを把握して、最適な外構工事を実施しましょう。

 

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