一般的なアスファルトで舗装を行う場合、1立方メートルあたりの重量は2.5トン程度になると言われています。
ここでは、なぜその数字になるのかを計算過程からわかりやすくご説明し、実際の施工にあたってアスファルトの重量計算がしやすくなるよう役立つ知識をご紹介していきます。
またアスファルトには特性と使用用途によっていくつかの種類分けがされており、それぞれ単位あたりの重量も異なってきます。
舗装用のアスファルトにはどんなものがあるのか、その重量の計算式はどうなるのか、合わせてご解説いたします。
アスファルトの重量を計算する方法
アスファルトの重量を計算するにあたって、必要な数字が体積と比重です。アスファルト舗装の施工面積と厚さから体積を割出し、舗装に使用されるアスファルトの比重を掛けることで導き出すことができます。
ここでは、重量計算において前提となる基礎的な知識と、アスファルト特有の注意点についてご説明していきます。
比重について
『比重』とは、物体が同体積の水に対してどの程度重いかを示す言葉です。基準となる水の比重は1であり、1平方メートルあたりの重量が1トンと明確なため、体積に物体の比重を掛け合わせることで簡潔に重量を計算することができます。
比重は物体の『密度』によって求められます。密度は物体の体積あたりの重量を表す言葉で、密度が高いほど比重も高くなります。
アスファルトの重量を計算するうえでは、比重がとても重要になってきます。
体積から重さを求める計算方法
アスファルトの重量を計算で求める場合、体積と比重を掛け合わせる方法が使用できます。
体積は施工面積に舗装の厚さを掛けることで求められますが、通常アスファルトは敷き詰めたあとにロードローラーなどで踏み固めるため、若干厚みが目減りすることとなります。
これを『転圧減量』と言い、踏みしめられて減った分の体積を加味して計算する必要があります。踏み固められることで減少する体積はおよそ8%とされているため、転圧減量として1.08を計算式に掛け合わせます。
以上を踏まえたうえでアスファルトの重量計算を式に表すと以下の通りになります。
面積(m2)×厚さ(m)×比重×転圧減量(1.08)=重さ(t)
計算時の注意点
一般的に舗装に用いられるアスファルトは『密粒度アスファルト混合物』と呼ばれるものです。
比重は2.35とされていますが、実際に施工で使用するアスファルトは製品によって製造会社の定める比重が異なる場合があります。
事前にアスファルトの出荷プラントへ比重を質問して確認するようにしましょう。
また後述の通り使用するアスファルトの種類によっても比重は異なります。施工の際にどの種類のアスファルトを使うのかを確認しておくと計算がスムーズに行えます。
アスファルト混合物の密度
舗装に使われるいわゆる『アスファルト』は、正式にはアスファルト混合物と呼ばれ、密度によって種類分けがされています。
複数の種類があるアスファルト混合物は、それぞれ強度と重量が異なります。
アスファルト混合物の区別は配合されている粒子の大きさや密度(=粒度)によって決定され、強度順に『密粒度アスファルト混合物』、『細粒度アスファルト混合物』、『開粒度アスファルト混合物』などがあります。
舗装を行うにあたって求められるアスファルトの強度や性質は変わるため、必要強度に応じて使用する種類を選択しましょう。
アスファルト混合物の比率で種類が変わる
アスファルト混合物を構成する材料には以下のようなものがあります。
・『粗骨材』
目の大きさが5mmのふるいにかけた際に85%以上が残る、比較的大粒の砂利や砕石。
・『細骨材』
目の大きさが5mmのふるいにかけて85%が落下する、比較的小粒の砂利や砕石。
・『フィラー』
砂利や砕石を更に粉末状に砕いた鉱物質の微粉末。骨材同士の隙間を埋める役割を持つ。
・『アスファルト』
上記の骨材やフィラーをつなぎとしてまとめ、アスファルト混合物として完成させる接着剤。石油からガソリンや重油などを分離して精製する。アスファルトの代わりにセメントをつなぎに用いるとコンクリートになる。
これらをどのような比率で混合するかによって、前項で紹介したような各種類へと分岐していきます。
上記材料はそれぞれ比重が異なるため、配合割合によってアスファルト混合物自体の比重も変わってきます。
各アスファルト混合物について、特徴と用途を下記に解説いたします。
◆密粒度アスファルト混合物
日常生活で最も見かけることの多いアスファルト舗装で、道路の舗装によく使用されています。大きな粒が混じっているのが特徴で、安価かつ短期間で施工が可能という利点があります。
変形しづらく、摩耗に強く、滑り止め効果が高いというのも重要な特性です。
◆細粒度アスファルト混合物
密粒度のものより小さな粒を多く混合した舗装です。粒子が細かく隙間が小さいため、耐水性が高くひび割れにも強いという特徴を持っています。
◆開粒度アスファルト混合物
小さな粒を低密度に分布させた舗装です。表面が上記二つを比較しても非常に粗いのが特徴で、水をよく吸うため水たまりが出来にくいとされています。
また表面に水分が滞留するのを防ぐため、路面がスリップしにくいという特性も備えています。
アスファルト混合物の比重と性能の違い
一般的なアスファルト混合物の、それぞれの比重と性能、使用されるシーンについて以下にまとめます。
◆密粒度アスファルト混合物
比重:2.35 性能:最も普及している舗装用アスファルト。 頑丈で滑りに強く、施工が安価。
主に使用される場所:全国の国道を始めとした人通りの多い道路。急こう配のある部分。
◆細粒度アスファルト混合物
比重:2.30 水に強くひび割れが起きにくい。一方で変形しやすい難点がある。
主に使用される場所:大型トラックなどの重量貨物車が頻繁に運行する場所や駐車場。
◆開粒度アスファルト混合物
比重:1.94 水はけが良く、路面が乾きやすいためスリップしにくい。反面耐摩耗性では上記に劣る。
主に使用される場所:冠水しやすい場所や雪国など、路面が濡れた状態になりやすい場所。
アスファルトの単位重量
比重がわかれば、体積あたりの重量を計算で求めることが可能です。下記は、各アスファルト混合物の1立方メートルあたりの重量になります。
・密粒度アスファルト混合物 約2.5t
・細粒度アスファルト混合物 約2.4t
・開粒度アスファルト混合物 約2.0t
上記の単位重量は、あくまでも一般的な比重とされている数字を掛け合わせたものです。
前述の通り、舗装用のアスファルト混合物は製造しているメーカーによって比重が異なる場合がありますので、施工の前にあらかじめ製造プラントや専門家へ話を聞いておくことをおすすめします。
まとめ
アスファルトの重量計算について、以下に要点をまとめます。
・重量を割り出す計算式は、面積×厚さ×比重×転圧減量=重量
・比重はアスファルト混合物のメーカーによって異なる場合があるため、事前の確認が必要
・舗装用アスファルト混合物には種類があり、それぞれ強度と特性、比重が異なる
アスファルトは舗装目的や周辺環境によって使用する種類が変わってきます。重要事項を確認し、適切な施工にお役立てください。